枯れているRTMPの後継となる次世代プロトコルは何か。え・Enhanced RTMP(HEVC、AV1、VP9対応)・・配信サーバをEnhanced RTMPにアップデートして、OBSでAV1にてライブ配信を送受信テスト

ジュエ株式会社の技術部です。2023年は、一気にAOMedia Video 1 (AV1)対応が広がってきました(HVEC/H265もですが)。NVIDIAやIntelのハードウェアがAV1エンコードをサポートし、OBSなどソフトウェアやYoutubeなどサービスも次々に対応しています。ブラウザでは、あのSafari(Apple)も対応してきました。OBSとYouTubeの対応が大きいですね。

本日の検証では「Enhanced RTMP」にてAV1コーデックに対応したOBSを使用して、AV1ライブ配信をテストします。現在のH264と比べて、約50%少ないデータ量で同様の品質のライブ配信ができます。

AV1に切り替えることで、通信やストレージコストを半分にできることは、インパクトが大きいです。ジュエ株式会社では、VRライブ配信などVRカメラやVR配信機材周りを担当しています。Enhanced RTMPに対応した配信サーバ(大規模ではなく検証テスト用)も準備できますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

いつのまにかAV1が増えてきた

少し前までは、Youtubeのファイル情報を見るとVP9だったのですが、最近はAV1になっていました。動画配信(VOD)では、AV1のシェアが増えていそうです。※YoutubeのCodecsがav01になっているものはAV1です。

AV1とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/AV1

AV1(AOMedia Video 1)は、インターネット上での動画配信[要曖昧さ回避]を目的として非営利団体のAlliance for Open Mediaが開発したオープンかつロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックである。主にGoogleのVP9を基礎とし、DaalaとThorとVP10の技術を組み込んで開発された[1]。類似技術であるGoogleのVP9やMPEGのHEVC/H.265の置き換えを目指している。

HVEC(H265)は、H264と比べて圧縮効率は良いのですが、ライセンスやロイヤルティが必要であり、機材やソフトウェア等の対応が進まない部分があるように見えます。一方でAV1はオープンメディアでありロイヤルティフリーです。

さらに、AV1はHVEC(H265)と比べて20~30%ぐらい効率的(同じ品質でデータが小さい)と言われています。AV1を再生できる環境がそろってくれば、AV1を利用しない理由はありません。

 

ライブ配信のAV1はこれから?

ライブ配信に関しては、AV1の対応をほとんど見かけません。HVEC(H265)も使われていますが、依然H264が主流である印象です。大きな原因はRTMPにあるのかもしれません。20年以上前に作られたストリーミングメディア技術にRTMPプロトコルは、開発が止まっておりHEVC(H265)、AV1、VP9などをサポートしていません。※一部では、RTMPを改良してH265に対応だったりしますけど、正式には非対応です。

そこで最新規格に対応した次世代プロトコルは何か。。。と悩むところで、SRTなどがありますが、イマイチ普及せず、やっぱりRTMPが中心です。でもそろそろRTMPと決別するべきではと。。。

そのなか、Veovera Software Organization (VSO、2022 年設立)が「Enhanced RTMP」を出してきました。RTMPをHEVC(H265)、AV1、VP9や最新のオーディオコーデックに正式に対応させたものです。AdobeやYouTubeも参加しています。さようなら「RTMP」こんにちは「新RTMP」という状況です。ということでRTMPを使い続けられる状況になりました。

Veovera Software Organization
https://github.com/veovera/enhanced-rtmp

「Veovera has welcomed new members to the organization including Adobe, YouTube and Veriskope.」

「Enhanced RTMP」について海外のサイトを要約して紹介します。
https://obsproject.com/blog/obs-studio-29-release-notes
https://blogs.nvidia.com/blog/2023/05/02/av1-obs29-youtube/
https://www.techspot.com/news/98111-youtube-brings-av1-livestreaming-beta-improved-video-quality.html
etc

「Enhanced RTMP」は、Veovera Software Organization(VSO)によって開発された技術で、現代のストリーミングメディア技術にRTMPプロトコルを合わせることを目指しています。RTMPは20年以上前にリリースされ、今日でも多くのストリーミングソリューションで使用されていますが、その進化は停滞していました。例えば、VP9、HEVC、AV1といった人気のビデオコーデックをサポートしていませんでした。しかし、Enhanced RTMPはこれらの問題を解決し、現代のストリーミングメディア技術との整合性を図る新たな改善をRTMP/FLV仕様にもたらしています。Veoveraとそのメンバーは、RTMPを近代化し続けるために、Opus、AC-3、E-AC-3といった人気のあるオーディオコーデックを含む追加の機能を迅速に追加する予定です

GeForce RTX 40シリーズのGPUはすべて、平均してH.264よりも40%効率的なエンコーディングを提供するAV1ハードウェアエンコーディングをサポートしています。AV1エンコーディングのハードウェアとソフトウェアのサポートが増えるにつれて、AV1ビデオコーデックはH.264を置き換えるための優れた標準となりつつあります。

YouTubeは最近、RTMP+(Enhanced RTMP)のサポートを追加し、AV1、VP9、HEVCのライブストリーミングを可能にしました。OBS 29.1ではAV1のライブストリーミングが可能になりました。現在は試験的にYoutubeにおけるライブ配信をサポートしています。

という感じです。AV1を使ったライブ配信の場合は、Youtube以外ではどうやって動かすのだろうというところです。早速検証してみましょう。ポイントは、配信サーバー側を「Enhanced RTMP」に対応させることです。

Enhanced RTMPにアップデートしてAV1のライブ配信テスト

AV1コーデックに対応したOBSを使ってライブ配信をしてみました。サーバー側はEnhanced RTMPにアップデートしました。現在のH264と比べて50%ぐらい少ないデータ量で同様の品質のライブ配信ができることになります。ライブ配信事業社は、AV1の配信に切り替えることで通信やストレージコストを半分にできるというのは、インパクトが大きいですよね。

OBS Studio 29以降は、AV1対応です。
https://obsproject.com/ja/download

今回は、OBS Studio29.1.2でテストします。インストールすると、AV1エンコーダーが表示されました。RTX4000番台などの最新GPUを搭載していれば、NVIDIAのAV1も表示されます。※WindowsストアからAV1 Video Extension(無料)を入れておく必要もあるのかもしれません。

せっかくなので、RTX4000番台のノートパソコンも用意しました。

解像度は、4K30Pです。

適当な動画ファイルを再生しながら、エンコードの設定はNVIDIAのAV1です。ビットレートは10Mbpsにしました。Enhanced RTMPにアップデートした自社の配信サーバーへRTMPで映像を送ります。

ダウンストリームをHLSやDASH等で試したのですが、上手く視聴できませんでした。ブラウザーの問題か、ソフトウェアの問題か、設定か。。。。いずれにしても近日見れる環境が整うでしょう。

見れないと思いつつ、HTML5でWebSocket プロトコル(WSS)を試したらAV1のライブ配信を見ることができました。遅延は1秒~2秒です。スムーズに再生されています。10Mbpsでも確かに20MbpsのH264ぐらいに見えます。

AV1エンコード時のパソコンの負荷ですが、GPUをそこそこ使っています。RTX4060でも4K30Pなら余裕を感じます。4K60Pもいけそうですね。

ちなみにYoutubeのRTMPは、すでにAV1をサポートしています。何も意識せずに、いつも通り配信するだけです。送る側も見る側もAV1を意識せずに利用できるのが凄いです。

画質の参考にはなりませんが、YoutubeのAV1のライブ配信テストは、こんな感じです。

AV1 10Mbps配信テスト

 

ちなみにライブ配信動画を公開した直前は、コーデックがVP9でした。時間がたつとAV1になるのか気になるところです。

以上から、RTMPは存続してこれからも主流でしょう。YoutubeのAV1ライブ配信を追いかける形で各配信事業社も、AV1対応を急務で進めるのではないでしょうか。

ジュエ株式会社では、VRライブ配信などVRカメラやVR配信機材周りを担当しています。Enhanced RTMPに対応した配信サーバ(大規模配信ではなく検証テスト用ですが)も準備できますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

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