8K以上の動画コンテンツを再生できる高性能HMD(ヘッドマウントディスプレイ)であるApple Vision Proを筆頭に、今後も各社(Meta、Pico、Sony、VIVE、Varjo、Pimax etc.etc…)から登場することでしょう。本日は8K3D・16KVR180動画を作ってみました。2mぐらいに先にあるキーボードの文字がギリギリ読める解像度があります。記事最後にサンプル動画もDLできるようにしました。
16K動画の再生環境が徐々に見えてきた?
2024年6月現在。いくつかの技術フォーラムを見てゆくとApple Vision Proで12Kを超えて15Kの再生できた報告があったりしますが、MV-HEVCの仕様があまり公開されていないためか、Apple Vision Proによる自由な動画再生には課題が多いようです。
そのような関係からか、長らく3DVRカメラを発売し続けているKandao社からApple Vision Pro用の再生アプリKandao XR (Vision Pro Version)が公開されました。弊社はApple Vision Proが無く残念ながら未検証です。Apple Vision Proにて、サイドバイサイド3D動画、VR180動画、VR360動画、空間Videoなどの動画ファイルの再生視聴できるそうです。
Kandao XR
https://apps.apple.com/us/app/kandao-xr/id6497716577
唯一無二ともいえる無料(でちゃんとした)のVR動画プレイヤーアプリDEOVRでもApple Vision Proのサポートがスタートしたようです。DEOVRのオンラインでは有料化チャンネルなどプラットフォーム化も進んでいます。
https://deovr.com/app
以上から動きはゆっくりとしているものの、Apple Vision Proの刺激を受けて今後はより高い解像度のカメラやHMDやフォーマット、付随するサービスが展開されることを期待しています。
16KVR180動画を体験してみよう!
8Kの次は、12Kか16KのVR180動画カメラなどが登場するでしょう。8K3DのVR180では、確かに若干解像度が足りない印象があります。もし高性能な8K3Dの16KVR180動画カメラが登場したらどのような高画質で視聴できるか検証いたします。
追記:Blackmagic URSA Cine Immersive 16Kカメラ登場。発売は2025年以降
https://www.blackmagicdesign.com/jp/media/release/20240611-02
同期する高性能な6Kカメラを2台並べました。そしてVR180フォーマットとして16Kに適合するようにレンズを調整しました。そのため映像の視野角としては水平約150°、垂直100°の映像となります。
16Kの画質を体感する目的であれば、水平約150°、垂直100°あれば十分に体験できます。視野角が広いといわれているQuest 3でさえ水平110度、垂直96度です。真下、真上は天井と床しかなく、真横は3Dコンテンツとして成立しにくいこともあります。実際の位置関係で見てみましょう。
右下のハードケースの取っての真ん中まで見えています。
左の水槽の1/3ぐらい見えています。
上はプラモの箱まで見えています。
下は目の前にあるワークステーションの足元まで見えています。これだけの視野角があれば体験としては十分です。
実際の解像度は16K~17K(16000~17000ピクセル)ありますが、簡単には再生できないので8K(7680×3840)にリサイズします。またステッチや立体視の調整は、厳密ではありません。映像の周辺の立体感は気持ち悪さがあります。ご了承ください。色は何も調整していません。自然な解像度の高さを体験ください。
16Kから8Kにリサイズすることでオーバーサンプリングが、がっつり効きますので16Kの雰囲気を体験できます。最新世代のHMDでご視聴ください。実際にはこの4倍のピクセル数があることを脳内で補完してください。16Kを再生できる環境が整えば、やっと現実に近いVR180が実現しそうですね。
16Kを8KにリサイズしたVR180動画(DL)
https://drive.google.com/file/d/1zvqgwNJA0yE-c-v9knaT9HXAo_GN7ocz/view?usp=drive_link
ジュエ株式会社では、より高解像度なカメラや、より特殊な撮影サービスを提供しています。映像に関する高画質化の課題や、8Kを超えるワイドスクリーン向けの映像コンテンツ撮影などお気軽にお問い合わせください。本記事で紹介した構成より、より高い解像度のVR180撮影も可能です。
ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。問い合わせフォームの下に記事がさらに続きます。
16Kなど高解像度動画に関する補足
5年ほど前は、16K動画を処理するワークフローはほとんど存在していませんでした。現在では多くのソフトウェアが16Kをサポートしています。以上から後処理の手順を考えるより「どのようなカメラ」と「どのようなレンズ」で撮影を行うか重要です。解像度や画質、視差などを含めて様々にテストを重ねることで、最適解を見出せます。
一方、16K以上の解像度を持つ動画を再生するには、多くの課題があります。現在のところ、16Kをフルに再生できるHMDはまだ存在しません。そこで考えられる方法は大きく2つあります。1つめは、タイルベース配信(Tile-based Streaming)のように、視聴しているエリアのみを再生する技術を使うアプローチです。ただし瞬時に画質を向上させられないなどの課題があるため、VR180など3Dフォーマットの場合は厳しいでしょう。
2つめは、外部で再生した映像をHMDに出力する方法です。外部再生のやり方はさまざまで、NVIDIA Quadro Syncなどを利用して複数GPUを同期させて16K以上を再生する方法や、高解像度・多出力に対応するメディアサーバー(disguiseなど)、業務用の再生機器(FPGAやASIC)を複数台使うといった手段があります。予算を気にしなければ、こうした組み合わせで16K以上の再生は実現可能です。
もし厳密なフレーム同期が必要でないのであれば、16K以上の映像を分割し、複数のPCでそれぞれ再生する方法もあります。NTP・SMPTE・独自プロトコルなどを組み合わせることで、ほぼ同期に近い状態は作れますが、完全に一致させるのは難しいため、映像のつなぎ目や3D映像の左右の視差などがシビアなコンテンツには適さないでしょう。
近年はGPUの演算処理能力自体は飛躍的に向上している一方で、動画再生に必要なデコードチップのハードウェア支援は8Kまでにとどまっています。これは技術的な問題というより需要の問題で、現時点では16Kをハードウェアレベルでデコードする必要があまり認められていないためでしょう。とはいえ、もしハードウェアでのデコードを自在に管理できる環境が整えば、複数のデコードチップを組み合わせて16K再生をHMDに出力することも不可能ではありません。かつては4Kデコードチップを2つ組み合わせて8K再生を実現した製品もありましたから、同様のアプローチが16Kでも応用できる可能性があります。
Skyworth S1 (V901) (2019年発売)
4K解像度のデコーダ回路を左右それぞれに用いることで8K映像に対応したHMD
https://ascii.jp/elem/000/001/971/1971003/
高解像度の撮影から編集及び再生までお気軽にお問い合わせください。