Kandao Obsidian Pro(カンダオ オブシディアン プロ)は、市販される最も高性能な一体型360度VRカメラ(2021年5月時点)です。わかりやすく公開されている仕様・SPECをチェックします。一体型360度VRカメラでは、もっともシネマVRカメラといえる仕様です。2021年6月初旬以降に実機が入荷いたしますので、後日Kandao Obsidian Pro実機のレビューもお届けします。
追記:Kandao Obsidian Pro実機のレビュー
https://digitalhobby360.jp/2022/kandao-obsidian-pro-review/
Kandao Obsidian Pro発売とレンタルのお知らせ
https://jouer.co.jp/news/kandao-obsidian-pro/
巨大なAPS-Cセンサー×8
センサーサイズはAPS-Cです。VRカメラとしてはとても大きなセンサーです。一体型360度VRカメラに採用されているセンサーとしては、かつてない大きさです。フォーサーズ(4/3型)と比べても約1.66倍も大きいのです。APS-Cセンサー(2400万画素)が8つ使用されています。一眼レフカメラで言えば、Sony α6600等(APS-C)が、8台並んでいるようなものです。
各レンズの水平方向視野角は135°、垂直は195°です。8個の内の3つのレンズで360°カバーできます。レンズ同士の重なりも大きく、3Dはもちろんさまざまな後処理にも有効です。
※メーカーからのレンズ個別のサンプルデータの解像度をチェックすると、5616×4024ピクセルありました。サンプルデータであり、設定等や今後のファームウェアで解像度は変わるかもしれませんが、各センサーごとに約6K近い解像度があります。6Kカメラが8台と考えると、さらに巨大です。
レンズユニットに画期的なフォーカスと絞り機能
レンズは6.6mm、10群14枚のレンズです。画像を見ると大きなレンズです。アクションカムのレンズというより、一眼レフ等のカメラレンズに近い印象です。このレンズユニットには、さらに驚くべき特長が2つあります。
1つ目は絞りです。F2.8~F16までF値を設定できます。通常のVRカメラは絞りが(ほぼ)固定です。絞りがあれば、被写界深度のコントロールはもちろん。明るさの調整にも活躍します。開放であまい映像にすることも、絞ってシャキッとさせたいこともあるでしょう。絞りがある安心感はとても大きいです。残念ながらNDフィルターは使用できません。
2つ目は電子フォーカス制御です。「近距離」と「通常」の2つの焦点距離を選べます。通常のVRカメラは、センサーが小さく広角なこともあり基本的にパンフォーカスです。良く言えば全体にピントがあっています。悪く言えば奥行きや空気感が無い安っぽい映像です。
大きなセンサーに大きなレンズを採用したことで、被写界深度の影響が大きいこともあるのでしょう。いずれにしてもフォーカス調整は素晴らしく、絞りもあり、まさにシネマVRカメラです。画期的な機能です。
注目の動画スペックはRAW、Proress 422HQ対応
動画のフォーマットは、12bit KDRaw、10bit Apple ProRes 422 HQ、8bit/10bit H265をサポートしています。これも驚きのフォーマットです。従来のVRカメラは、8bit H265/H264のサポートが多く、良くて10bitのH265です。※ステッチソフトウェアで処理したあとにApple ProRes 422 HQ等の書き出し対応はよくあります。
Kandao Obsidian Proは、各カメラ個別の元データからApple ProRes 422 HQで収録できます。まさにシネマVRカメラです。12bit KDRawもとても気になる形式です。使えるRawであれば最高です。
フルスペックな3D12Kに対応
3Dでも解像度が下がらない仕様です。2Dと比べて必要なピクセル数が2倍になる(サイドバイサイドやトップボトムなど)3Dの解像度でも、12Kに対応しています。まさにフルスペックです。12Kで3D立体視に対応です。
11520×11520@30fps (12K 3D)
11520×5760@30fps (12K パノラマ)
5760×5760@60fps (6K 3D)
5760×2880@60fps (6K パノラマ)
60fpsは6Kまでであり、少し残念です。※メーカーサイトによると、AI画像処理アルゴリズムにより、12K(11520×11520)でも60fpsに変換できるとしています。画像処理で中間フレームを作りだし2倍のフレームレートにする仕組みでありますが、どの程度実用的なのか気になるところです。後日テスト撮影いたします。
すべて最新の通信規格&巨大!
HDMI最大出力が8K@30fpsの表記があり、8Kモニター等への対応が伺えます。たぶんリアルタイムステッチされた映像が出るのでしょう。現時点では、8KのHMDI出力に対応した収録用等の撮影機材が、ほぼ無い現状です。モニターなど周辺機材が揃うのを待つ状況です。
その他、Wi-Fi 6 (802.11.ax)、10Gbイーサネットポート、Bluetooth 5.0、GPS内蔵など最新世代の通信規格を採用しています。10Gbイーサネットポートが熱い仕様です。収録したデータがどの快適にダウンロードできるか楽しみです。
重量は11.16Kgです。大きさは369.2mm × 236.8mmです。
最も重たい(規定上)ボーリングの玉は7.25kg、約220mmです。
比較すると、いかに大きく重たいか分かります。
ボーリング場の一番重たい球より1.5倍ほど重たいのです。
最大入力電力は160W、AC電源もしくは、Vマウントバッテリー電源(オプション)でVバッテリーを2つ使用します。以上の仕様からバッテリーを内蔵していないことが分かります。このクラスの場合は、むしろVバッテリーで動く方が便利かもしれません。
収録が1枚のSSDに入る、8TBで50分、巨大!
まだまだ特徴があります。今までのVRカメラは、レンズユニット分の複数枚の収録メディアにデータが保存されました。撮影後にこれらのデータ整理に手間がかかるものです。Kandao Obsidian Proの撮影データは、SSD1枚に収録されます。4TB、8TB、16TBのストレージが用意されています。大容量のデータが1枚のSSDに収録されるメリットはとても大きいです。
1秒あたりの書き込み速度は最大22160Mbpsと表記があり、MB/secに変換すると22160/8=2770MB/secになります。NVMe接続などのSSDが使われているような速度です。16TBでPro Res422HQ収録した場合には、約100分と記載があります。8TBで50分、4TBで25分。大きなデータ量です。
すべてが圧倒的に巨大です。Kandao Obsidian Proの実物が入荷次第、より詳細なレビューをお届けいたします。Kandao正規代理店ジュエ株式会社では、2021年6月初旬よりKandao Obsidian Proの販売及びレンタルを開始いたします。実機を見て検討されたい人はお気軽にお問い合わせください。