2~3時間の撮影で和室を3Dデータ化!レーザースキャンは約6地点、写真は約500枚です。照明は部屋にある蛍光灯や自然光のみフォトグラメトリとレーザースキャナの組み合わせを検証

ジュエ株式会社では、VR撮影、ドローン空撮、16Kを超える高解像度撮影、3Dレーザースキャンなど特殊な撮影技術を提供しています。お気軽にお問い合わせください。今回はフォトグラメトリとレーザースキャナーで和室の3Dモデルについて検証します。

フォトグラメトリとレーザースキャナの組み合わせにより、どのくらいの時間でどのような品質が実現できるかを検証します。また作成した和室のCG空間の視覚品質や、個々の物体にフォトグラメトリやモデリングを適用するべきかどうかの判断基準、より高品質な成果を求める場合の必要な作業についても検証しました。以下は3Dモデル化した和室を動画で書き出しました。

2~3時間の撮影で和室を3Dデータ化の検証!レーザースキャンは約6地点、写真は約500枚です。照明は部屋にある蛍光灯や自然光のみ

今回の機材は、レーザースキャナはFARO Focus Premium 350、静止画カメラはGFX100を使用しました。レンタルスペース(畳15畳、庭園付の和室)を借りて、2~3時間で撮影しました。レーザースキャンは約6地点、写真は約500枚です。照明は部屋にある蛍光灯や自然光のみです。参考までに以下の場所です。

https://www.spacemarket.com/spaces/gxd6f7vtzk7r4g4a/?room_uid=ylvT2Yzkz8MmPDZY

フォトグラメトリは複数の写真から物体の3Dデータを生成する技術です。レーザースキャナーはレーザーを用いて物体表面の細かい点を高精度に計測する機器です。これら二つを組み合わせ、精密なスケールがありながらより現実的なテクスチャーをもつ3Dデータを作ることができます。フォトグラメトリとレーザースキャナーを使用した3Dモデル技術は、さまざまな分野で有効的な使い方が可能です。

例えば
・建築プロジェクトの進捗モニタリング:
建設進行中の建物の点群データを元にリアルなテクスチャを適用することで、ビジュアル的に優れた進捗状況を可視化。

・災害後の建物損傷評価:
災害による建物の損傷を3Dスキャンし、リアルなテクスチャを用いて損傷部分の詳細を精密に把握することで、より具体的な修復計画の策定を支援。

・施設レイアウトの効率化:
既存の施設やオフィス空間をスキャンし、リアルなテクスチャ付きのより実際の空間のイメージに近い3Dモデルを作成。配置計画の提案に活用し、空間利用の最適化を図る。

・カスタムメイド家具の設計:
顧客の室内をスキャンして、その空間にフィットする家具のカスタムデザインを提案。リアルなテクスチャにより完成形を事前に視覚化でき、CGとのミスマッチを減らす。

・文化遺産の詳細記録と保全:
遺産建造物を高解像度でスキャンし、リアルなテクスチャを適用して状態を記録することで。修復や保全作業の前の詳細な評価に役立てる。

・歴史的建造物のバーチャル展示:
歴史的建造物を3Dスキャンし、リアルなテクスチャを適用してバーチャルリアリティでの展示を可能に。教育や観光に活用。

・映画やCMのセット再現:
実際のロケ地をスキャンし、点群データの正確さとよりリアルなテクスチャを適用することで、映画やCMのセットを再現。製作コストの削減と効率化を図る。

・アニメーションの背景リアリズム向上:
実世界をスキャンして得た点群データにリアルなテクスチャを適用し、アニメーション作品の背景として使用。視覚的リアリズムの向上。

・建築教育の実践教育ツール:
建築学生に対して、実際の建物をスキャンした3Dモデルを提供し、設計や構造分析の実践教育に利用。ビジュアル的な要素をもつ建築物にも有効的。

など用途は多岐にわたります。フォトグラメトリとレーザースキャナの組み合わせることで、モデリングするより効率的に、点群データよりリアルな3D情報を作れます。フォトグラメトリとレーザースキャナーを使った撮影のご相談をお待ちしております。

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    3Dモデルを作成する実際の和室写真

    部屋の半分が15畳の和室になっています。以下は実際の写真です。

    蛍光灯に加えて窓からは、自然光も差し込んでいます。環境光があるなかでの撮影です。

    障子もずらりと並んでいます。

    畳のディテールがどこまで出るかも楽しみです。

    灯篭や桜や砂利や竹などもあります。フォトグラメトリ的には難関エリアです。


    芸術的なライトです。フォトグラメトリでは絶望的な形状をしています。


    室内を500枚ほど撮影しました。

    全体撮影と比較するために、単体で座布団や木箱も撮影しました。テストなので簡易的です。

     

    FAROレーザースキャナの点群データ

    FAROレーザースキャナで作成した点群データです。右側が和室部分の俯瞰です。

    レーザースキャナーのカメラは、あまり高品質ではありません。明暗が激しい場合は、画質が悪くなります。レーザースキャナは、計測として正確な点群を作るものであり、テクスチャーなどのビジュアルには適していません。


    ミリ単位で空間を正確に把握できます。物の位置関係の保管には優れています。

     

    点群データの写真の合成作業

    写真から作成したフォトグラメトリデーターと、レーザースキャナーから作成した点群データを統合します。密度が高く品質が良いことが分かります。和室部分だけクリッピングしました。

    色を付けてメッシュ化します。メッシュ化とは点群を3角形のトライアングルに変換する作業です。

    フォトグラメトリの写真をテクスチャーとして使用します。こちらは点群データからメッシュ化した3Dデータに、写真から作成したテクスチャーを貼りつけた3Dモデルです。

    実際の写真と比べてみましょう。フォトグラメトリによるCGデータは、写真と近い品質に見えるでしょう。

    以上から、データが成立することが分かりました。次は実用的に利用できるデータに修正や変換作業をしてゆきます。

    CGデータを修正して軽量に変換する作業

    フォトグラメトリや点群データから作成した3Dデータ(メッシュ)は巨大です。今回はの元データは、354 million trianglesもあります。リアルタイムレンダリングできないぐらい大きなサイズです。このままだと何も表示できません。PCで動作する実用的なサイズまで減らしていきます。

    354 million trianglesから

    9.8 million trianglesまで減らしました。これでPC等なら動作できます。スマートフォンやタブレットで動作させることを考えると3 million triangleとか1 million triangleなど、Webブラウザーで動作などを考えると100K triangleと、どんどん小さくしたくなるでしょう。

    スキャンしていない場所や写真が無い部分は、このように穴が開いたりします。データが無い=空間がない=穴が開くといった仕組みです。ほかにも様々な条件で、形が崩れることがあります。

    このような部分を修正してゆきます。

    今回は、ぱっと見で問題が無い程度の修正にしました。部屋素材の完成です。

    細部の比較用として、個別の箱や座布団の3Dモデルも作成しました。

     

    Unreal Engine 5に取り込み画質などを検証

    作成した和室の3DモデルをUnreal Engine 5に取り込みました。自然光や照明が入った状態で撮影しているため、アンリットにて画質をチェックします。実際の写真と雰囲気を比較してみます。

    目を凝らせば違いは分かるものの、ぱっと見ではCGか写真か見分けがつきません。対象物から数メートル離れて、背景などの素材として使う限りでは、十分に使えることが分かります。自由なアングルを取り出せます。

    左(緑の枠)が3Dモデルです。右(赤の枠)が実写のJpeg写真です。

    例えば、この畳は写真でしょうかCGでしょうか。正解はCGです。見分けがつきません。

    次に、近寄ってみます。数十cmまで近寄った場合に見え方はどうなるでしょうか。部屋全体を2~3時間で一様にスキャンした場合の品質として作成しています。

    ここまでよると障子の木枠のガタガタが見えてきました。

    全体をスキャナーする場合はメッシュを軽量にする過程も含めて、まっすくで小さい線はガタガタしやすいです。レーザースキャナーを使っても同様です。

    足元の戸棚も近寄るとディテールが甘いです。ここだけに注意して撮影したわけではないので、解像感が低くなっています。元の写真の画質も低いためです。

    天井の照明も同様です。照明部分だけを撮影したわけではないのでディテールが崩れています。

    桜の葉や枝は、形状が保てていません。レーザースキャナーを併用してもこのような対象物は難しいです。
    ※草や枝や葉などは、CGアセットを使った方がよいでしょう)。

    灯篭や照明なども、厳しい結果になりました。ガラスなど透明なものは、フォトグラメトリやレーザースキャナーでは、形を認識できないからです。

    以上から、部屋全体を数時間程度でレーザースキャナーとフォトグラメトリで撮影した場合において、3Dモデルを数メートルはなれて利用するには、十分な画質が得られました。一方で数十センチまで寄れるCGモデルを作ることは、難しいことがわかりました。

    では数十センチまで寄れる3Dモデルを作る方法を検証してみます。もっと解像度を上げたい対象物は、その部分を個別にレーザースキャナーやフォトグラメトリすることで解決できます。さっそく個別のスキャンした座布団や箱を見てみましょう。

    数十cmまで近寄っても形状がしっかりしています。座布団の網目か模様まで見えます。もっと解像度を上げることもできます。

    箱も個別に撮影したものは、線のガタガタが少ないです。

    どの程度まで見えるデータにしたいのか事前に把握しておくこと、で適切な撮影方法を選択できます。この箱もCGデータです。

    今回は検証しませんが、例えばガラスの照明、ペットボトル、障子の骨など細くまっすくな部分など、透明であったり、光っていたり、細かったりするものは、モデリング(またリトポロジー)で作成したほうが綺麗に出来ます。同じものが大量にある場合もモデリングのほうが良い場合が多いでしょう。

    レーザースキャナーとフォトグラメトリを併用しても、対象物によってはモデリングが必要になります。組み合わせて柔軟に作成すると良い結果になります。

    よりリアルにするために照明ライティングを入れてみよう

    アンリットとは、光の影響を受けない描写になります。今回のように環境光に照らされた撮影は、すでにライティングされた状態です。そのためアンリットで検証しました。場合によっては、リアリティが無い表現になります。同様にアンリットでは、メッシュの品質の悪影響が出にくいためCGモデルが綺麗に見え良い場合も多くあります。

    リットで使うのか、アンリットで使うのか事前に知っておきましょう。アンリットでは、ライティングの影響がないため影が発生しません。このように浮いた見え方になります。

    和室マテリアルの設定を変更して、リットにしました。ライティングが可能な状態です。天井に光源を設置しまして、その光源の影響を受けて影が地面に落ちました。このようにすることでリアルに見えます。

    光の影響を反映できるため、自然に明るくしたり、暗くできます。ライトの数や位置を変えれば、影の落ち方も変えられます。以下ライトの明るさを3段階に変化させてみました。リアルな変化を作れます。


    今回は、もとから照明が入った素材であり、さらに照明を当てているため過剰でCGっぽくなっている感は否めませんが、このように光をシュミレートできますので演出の幅が広がります。色温度も変更できます。用途に合わせてた演出が可能です。

    部屋を複製して繋げてみました。奥の部屋は蛍光灯を一つだけです。

    さらにレンズのフォーカスなどを設定することで、より現実の映像に近づきます。手前の箱にフォーカスを合わせました。

    実際に何かを配置してテストしてみます。机やイスなどのCGデータをダウンロードして配置しました。和洋折衷です。

    カメラを入れて、さまざまな角度から移した動画を書き出してみました。

    2~3時間の撮影で和室を3Dデータ化の検証!レーザースキャンは約6地点、写真は約500枚です。照明は部屋にある蛍光灯や自然光のみ

     

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