2024年5月20日ひっそり?とアップデートされた(WINDOWS_EXE V1.3.0.19 2024-05-20)Kandao VR Camは、いよいよ正式版といえるバージョンとなりました。メジャーアップデートです。
Kandao VR Camは、8K3Dに対応したVR180ライブ配信カメラです。リアルタイムステッチが可能であり、配信ソフトウェアも無料で付属します。ネットワークカメラとして有線LANから操作します。動作にはワークステーション(RTX3070以上)が必須です。
今まではRTMPのみでしたが、今回のアップデートで正式にSRTの項目が追加されました。SRTは以前から動作しましたが項目が今回から表示されるようになりました。さらにNDIも追加され、なんとSDIも対応です。8K30PでNDI/SDI出力できます。
ほかには、収録(配信)ファイルの保存フォルダーを指定できるようになったり、IP周りの細かいアップデートもされました。正式版といえるバージョンです。ソフトウェアもメーカサイトに公開されました。
Kandao Streamダウンロードサイト
https://www.kandaovr.com/ja/support/detail?id=7jrAJroMdoaY#support_detail_download_software
Kandao VR Cam過去の関連記事
https://jouer.co.jp/2023vr180kandaovrcamera-review/
Kandao VR Camの基本的な操作はKandao VR Cam過去の関連記事を参考にしてください。RTMPとSRTは過去の動作確認をしているため今回の記事では検証しません。NDI/SDIの動作検証をします。
Kandao VR Cam 8K30P NDI/SDIの動作検証
NDIやSDIが使用できると放送機材と一緒に利用できるため放送事業者が扱いやすい機材になることが大きなメリットです。SDIは、放送業界では定番の映像ケーブルです。コネクタの信頼性も高く信号のロスレス(非圧縮)伝送も可能である程度の距離(解像度によるが数十メートル)も引き回しできます。
参考記事 SDIとは
https://www.inrevium.com/pickup/sdi/
NDIは、IPネットワークに対応した映像規格です。映像関連企業の大手であるNewTek(アメリカ)によって開発されたもので、映像業界向けの仕様になっています。IPなど意識せずにネットワーク内に映像が流れるので使いやすく素晴らしい規格です。オープンソースではありませんが、基本的に無料で使えるので広く普及しています。
参考記事 NDIとは
https://www.dpsj.co.jp/tech-articles/ndi
ネットワーク機材はNDIをサポートすることが多いためKandao VR Camの対応はありがたい印象です。しかしまさか8K30PのSDI(SI等)出力をサポートするとは思いもしませんでした。8Kという高解像度のSDIに対応するには、12G SDIケーブルを4本で出力する必要があります。一部の限られた機材でしか対応しておらず、サポートすることが自体が珍しいです。
正確にいえば、8K30PのSDI(SI等)出力をサポートするワークステーションでKandao Streamを動作させることにより、は8K30PのSDI(SI等)出力できるということですが、VR180のエクイレクタングラー形式をリアルタイムでSDI出力できるものは少ないので、素晴らしいバージョンアップです。
Kandao VR Camで8K30PをNDIで送受信
Kandao Streamを開くと、新しくSDI、SRT、NDIのアイコンが追加されました。NDIを送信してみます。※ちなみSDIとNDI送信時にはファイル収録(REC)は同時にできないようです。
NDIを送信すると、同一ネットワークの端末で映像を受信できます。受信テストにはNDI ToolsのStudio Monitorを使います。8K30Pが正常に受信できました。NDIの映像の遅延に関しては、ネットワーク環境に依存しますが1秒未満に見えました。500ms以上かどうか。手軽な割にNDIはなかなか低遅延です。
1秒~500msは、そこまで低遅延ではありませんが(加えてネットワークの状況による要素も大きい)同時に複数端末で低遅延に見える点は大きいでしょう。
NDIのHXではなく通常のNDIが送信されているようです。つまりビットレートの指定はできず、NDIで調整されたビットレートになります。1Gbps環境では380Mbpsで映像が送受信されています。10Gbps環境で使えば、複数台のKandao VR Camを設置しても動作するでしょう。
NDIは同じネットワーク内に映像が流れるのですが、NDI Bridgeを使えば離れたネットワーク内に映像を届けることができます。またNDI Bridgeは、NDI HXを利用できます。NDI HXとはH264やH265による圧縮をNDIで利用する規格でモバイル端末や離れたネットワークへの送信などを想定したものです。
例えばNDIでは380MbpsのところHXで20Mbpsにして、離れたネットワークのNDI Bridgeへ送信することができます。ネットワークのNDI Bridgeは、NDI Bridgeが存在するネットワーク内にNDIを流すことができます。NDI Bridgeも無料で使えます。
NDIのSDKは、さまざまな種類が公開されています。例えばUnityやUnreal EngineでNDIを受信できるSDKもあります。それらを使うことで、RTMPやHLSと同様にUnityやUnreal Engine内でNDIをVR視聴表示も可能でしょう。Kandao VR Camにて、Kandao Streamを使い、NDIからNDI Bridgeにて遠隔地のネットワーク端末に配置された複数のVR視聴端末で、それなりに低遅延で視聴するといったことも可能でしょう。
NDI SDK
https://ndi.video/for-developers/ndi-sdk/download/
Kandao VR Camで8K30PをSDIで送受信
次はSDIを試してみます。Kandao VR CamがあればリアルタイムステッチされたVR180の8K映像を簡単に12G SDI×4本で出力できます。ジュエ株式会社では、このような特殊な8Kライブ配信用に最適なワークステーションをオーダーメイドで製作しています。お気軽にお問い合わせお見積り依頼を相談ください。
MONTE(モント)シリーズ8K60PリアルタイムステッチVRライブストリーミング配信システム
https://jouer.co.jp/news/virtual-reality-8k60p-live-streaming-real-time-stitching-system/
7680×4320ピクセルの8K SDI出力を設定します。
SDI4本で映像を出力します。
8Kレコーダーのハイパーデックに入力します。
8K30Pで入力できました。動画のフレームも問題なく動いているようにみえます。
動画の解像度を比較してみます。以下赤いエリアを拡大して比較します。フルHD、4K、8Kで書き出しできるので、それぞれ8Kサイズに合わせてアップコンして比較しました。
フルHD(1920×1080ピクセル)の拡大(フルHD→8K等倍サイズへ)のクロップ
4K(3840×2160ピクセル)の拡大(4K→8K等倍サイズへ)のクロップ
8K(3840×2160ピクセル)クロップ
フルHDから4Kの解像度は大きく向上が感じられました。4Kから8Kは、多少の向上が見られましたが大きな変化を感じられませんでした。以下4Kだと、直線がカクカクであるところ、8Kだと真っすぐです。
以下8Kですが、真っすぐであり解像度が向上しております。ただ大きくは変わっていない印象でした。
ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。